murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

メガネを軽くしたい、と言うご要望

今日、2件のご要望を頂きました。
両方とも女性の方から、また、両方とも3年前に作ったメガネに対してのご要望でした。
お一人は「今のメガネをそのままの形で軽くしたい」、もうお一人は「鼻に当たる重さを軽くして枠替えをしたい」と言うもので、それ自体はできないことではないんですがよくよく話を聞いていくとどうも「メガネを軽くする」ことでは解決できない問題があるように思いました。
一つはデザイン的なもの、もう一つは体質的なもの、です。

「今のメガネをそのままの形で軽くしたい」方のお話を聞いていくと、レンズは今のままでいい、と言うか「このレンズを使いたい」ということで、度数の設定とか上下幅の設定、自分の顔に対するフィット感とかがこれまでメガネを作ってきた中で今の状態が一番良い、と仰ってくださってるんですね。このレンズは3年前ウチの店で作ってくださったものなんですが、枠自体はもっと前に購入したフルリム(全体が金属枠のメガネ)で、デザインはシンプルで特に問題はなさそうなんですが「イメージを変えたい」と言うのが最終的なご希望だったんです。
でもレンズの大きさや形は変えたくない・・・・・これって結構難しいんですよ。
あとの条件は「縁なしフレーム」または「ナイロールフレーム(上半分フレームのあるタイプ)」で、レンズの条件から「ナイロールフレーム」にしてもいいということになったんですが、枠替えっていうと極端に形を変えようという場合以外は今あるレンズの大きさから一回り小さくなるくらいが一番やりやすいし顔にかけても抵抗がないんですが、それが「このまま」って言うのがご希望なんで、うーんうーんと考えたんですよね。
まず、なにが「このまま」なのか、そこを明確に聞き出すってのからやってみたんですが、例えば顔に掛けたときの印象がこのままなのか、でもそれは「イメージを変えたい」訳だから違う、次に横幅が「このまま」なのか、と聞くとそうでもなくて、それに枠を替える場合は横幅は若干小さくなるのを了承していただかないと綺麗にリカットできない、それはわかってもらえて、最後にお聞きしたのは「上下幅」と「フィット感」、だったんですね。
上下幅は出来るだけこのままがいい、なぜなら近くを見る時に今の目線の上げ下げが一番やりやすいから、と言うのが第一の理由、次に耳の係り具合と鼻のあたり具合が今の感じが一番好き、と仰られたのでその限度の上下幅の大きさと鼻幅を測って上下幅は35ミリが限界、あとはフィッティング次第と言うことで枠を探すことになりました。
しかし果たしてそれで軽くなるのかどうか、そこが問題なんですが、たぶん最低1グラムは軽くなると思うんですよ。フルリムからナイロールにすることと、横幅を1ミリ小さくすること、フレーム素材をチタンばかりでなく新素材のポリアミド樹脂やベータチタンを使っているものを当たってみようと思います。そうすることで2グラム以上軽くなれば顔にかかっているときの体感するグラム数はもっと軽く感じるはずなので、それでご希望に添えられれば良いなぁと思うんですけどね。

「鼻に当たる重さを軽くして枠替えをしたい」方のお話は、ただ軽くなればいいというものではなかったです。
冬場はいいけど夏になるとどうしても鼻のあたりが赤くなってかゆくなる、とのこと。そのため少しでも軽くなれば赤くなるのがなくなってかゆみもよくなるのではないか、と言うご相談だったのですが、一番の問題がどこにあるのかでこれは解決方法が全然違ってくるものだと思いました。
このお客様が2番目の問題とした「かゆくなる」のほうが重要な問題だと思えたんです。
今まで金属アレルギーの方のメガネや、ラテックスアレルギーの方のメガネを作ってきたことがありますが、その方たちも自分が「アレルギー」を持っていると知らなかったためにメガネを掛けるとかゆくなったり皮膚が赤くなったりしていたんですね。実は私も金属アレルギーがあるので、銀製品やパラジウムコーティングされているホワイトゴールド系のアクセサリーは身につけられないんですが、それがあるので「アレルギー」があるなしで「皮膚が赤くなる」ことに対しては対処が全然違うと言う意識があったんです。
お話を聞くのと同時に、メガネのフィッティングに問題がないかどうかを見させていただきました。するとまずメガネのゆがみと耳の掛かりが浅すぎるのがわかりましたので、そこを直したのと鼻パットがすでにざらざらにささくれている状態なのがわかりました。
メガネの重さではなくて、フィッティングと素材に問題があるんだと私は考えましたので、フィッティングし直しと鼻パットの交換をしてみました。しかし効果のほどはすぐにはわかりません、しばらく掛けていていただいて、どんな感じなのかまた聞かせていただくことをお願いしました。
でも、どうしてもメガネを買い替えたい、と仰ったのなら買ってもらおうかなぁと(笑)考えてたんですがフィッティングをした段階で「全然違う、掛けやすくなった」と言っていただけたのでそれはまたの機会にということになっちゃいました。
うーん、失敗したかなぁ(ワハハ)

メガネをとにかく軽くしたい、というのなら『HOYAのエアリスト』と言うフレームが一番いいです。当然HOYAのレンズを使うことになりますが、枠自体がポリアミド樹脂で出来ていて掛けてるのを忘れるくらい軽いですし、肌に対してのあたりが柔らかいという感じがします。
でも、軽くするだけで解決しない問題はやっぱりあると思います。何が問題でどうやったら一番確実に解決できるか、よく話を聞いて考えることが大事だと思うのです。