murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

老眼鏡を作る

今日いらしたお客様は、すでに何本か遠近両用メガネを作ってくださっている方なんですが、どうにも手元の作業の時に不自由で仕方がない、とはじめは遠近両用で何とか度数を変えて使いやすいものは出来ないか、と言うご相談でいらっしゃいました。
でも、普段は遠近両用のメガネもほとんど使わず、テレビを見るにも今まではメガネなしで平気だったしご自分では目は悪くなっているという意識はない、と仰るんですね。今までのメガネの経歴を調べると若干の乱視が入っている(−0.75Dくらいの乱視)程度で、遠方視にどこまで正確さを求めるかによると思うんですがこの状況だったら車の運転にもさほど不安は感じないでしょうからかけないで済ませていたんだろうな、と思ったんです。そこで今はなにを見るときに一番不自由を感じるか、それがはっきりすれば手元用のメガネを作るだけでいいじゃないか、と思ったんですね。なんたって普段はせっかくの遠近両用をかけはずして使っているというんですから、手元の作業用専用メガネにしたっていいはずですしそのほうが「見る」ことの効率は良くなるはずです。
そこで、老眼鏡を作ったらいかがですか、とお勧めしたら最初すごく抵抗されたんですね。「老眼鏡」というフレーズがもう拒否反応をしめす相手だったようで、ああー失敗したーーー(汗)と、目を調べる前からちょっとへこんだんですけど(あうあう)一応以前の度数とどれくらい変わってるか調べさせていただいてから、テストレンズでどういったメガネがいいか体験してみましょう、ということになってやっていったんです。
度数は大きくは変わっていなくて、遠くを見るだけなら今の遠近両用を使っていただければ充分問題ないということがわかったんですね。尚且つお話を聞いていくと、最近は一瞬で消えるテレビの字幕スーパーがなかなか見づらく感じるようになって、たまにメガネをはずし忘れてそのままでいるとよく見えることがある、と教えてくださったんですが、それはこちらからすれば当たり前なんですけど、ご自分の目は悪くなってない、と言うイメージを持ってらっしゃるから「目が悪くなったのかしら」と心配されてるんですね。全然、そんなことないのにー、ていうか、メガネをかけてたほうが乱視の矯正がしっかり出来てるから判断が早くなったということなんで、そこをお話して今のこの遠近両用でいいからちゃんとかけててくださいね、とお話したんです。
でもこのメガネじゃ手元が見えない、と最初のご不満のお話にここで戻ったんですが、度数的には加入度数も遠近両用と同じでいいんですね、だけど目線の上げ下げが上手くできてないから近用部にまで目線が下がりきってないのと、見るものの対象距離がほとんどはパソコンとかの全くの手元ではなくて50センチから60センチは離れた場所がほとんどだって仰るので、遠近両用レンズを使った場合に見える範囲の一番狭い部分を使って見なければいけないことになるのでなかなかうまくいかなかったんだと思うんです。
そこで中近レンズもお勧めしましたが、価格的に抑えて作りたいと言うことで本当に必要な度数よりも一段弱い老眼鏡を作ることになりました。テストレンズを入れてみると、「なんだこんなによく見えるじゃない」と喜んでいただけたんですが、やっぱり先入観と言うか「老眼鏡は年寄りくさい」と思っていたのがメガネの使い分けを理解していただいて、必要なところが楽に見えるほうがいいじゃない、と言っていただけたのはよかったなぁと思いました。それと老眼鏡だからってなにも古めかしいデザインのものに入れることはないんだから、とお話して、メーカーサイドは10代の方をターゲットにしているような、レンズ部分が細身でサイドのテンプルがばっちり太めの、濃紺と明るいブルーのツートンカラーフレームをお勧めしました。だって、外にかけて出歩くわけじゃないから何でもいいって言うんですもん、なら今までかけたことのない、雑誌とかで見かけていいなぁと思ったのにしてみたらどうよ、とかけてもらったら似合うんですもん。価格もフレーム13,000円、レンズは1組6,000円とぐっと抑えたもので出来上がりました。「なんだか老眼鏡じゃないみたいねー」と最初に拒否反応されたような気持ちの負担もなくなったようで、気に入っていただけてよかったです。