murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

遠近両用のフィッティング

メガネで何が一番大事か、それは度数もさることながら『フィッティングである』と言い切れると私は思うんです。
まだ小さいお子さんの場合、いくらきっちりメガネのフィッティングをしてもすぐに型崩れを起こすのは仕方がないことだと思いますし、逆にメガネを曲げたことがないような大人しすぎる状況だなんてのは困っちゃうし、学生さんでスポーツをやっていたり元気イッパイではじけてる時代なんかは(と書くとなんだか自分がかなりオバサンになった気がする・・・)メガネの変形や型崩れは、もうあって当たり前だと思ってます。そうなったら直しに来てくれればいいわけで、これはホントお願いしたいんですがメガネの変形は自分でなおそうだなんて絶対に思わないでください。折れたり極端な変形で店頭で直らないとわかりきっているものでない限りどんなメガネでもウチの店では直す努力をしますが、「型直し」をするときにはその順番と言うのがあるので、道具も何もない状態、またはあってドライバーとヤットコくらいという状況で大事なメガネをどうにかしようと思わないでください。メガネ屋さんそれぞれやり方はあるとは思いますが、水平を直す場合には私は最低でもヤットコは3種類、鼻の箱足(鼻パットがついている金属の足部分)の型直しのときは専用ヤットコ3種類とマイナスドライバーを使います。使うときは10種類以上使うときもありますが、その全部に役割があってちゃんと使いこなして最終的にもとの通り顔に掛けられるようにしていきます。逆にそこまで揃ってないと怖くて直すことがちょっと無理かなぁと思うときはありますよね。

まぁでも、今回のフィッティングの話はそういうことじゃなくて、遠近両用のレンズを使いこなすためのフィッティングのお話です。
今日いらしたお客様は長年ウチの店をお使いいただいていたんですが、ここ1〜4年ほどの間に市内にメガネのワンプライスショップが3軒出来て、広告を見て安かったからと言う理由でそのうちの1軒にメガネを作りに行ったと言うのですね。
作ったのは遠近両用です。
あとからレンズを見せていただきましたが、メーカーもレンズの種類(いわゆるブランド名)もわかりましたがまぁそこそこ、世代で言うと3世代前くらいの廉価版レンズだったんですが、それだって使いこなせば問題なく使えるレンズだと思うんです。
が、お客様は横の視界が全く取れなくて使っているとイライラする、と言ってもうその店には行きたくないからウチで新しく作りなおしたい、と仰るんですね。
聞けば今年に入ってから作ったメガネだっていうから、なんかもったいなくて使えるようにしてみたらといろいろ提案はしたんですが(フィッティングもし直しましたし、枠替えも言ってみましたが)とにかく度数の見直しからしてほしいと言うのが第一のご希望だったんでそこからやって行ったんですね。

測ったら度数はほとんど変わってませんでした。ただ、レンズの選択にはすごく苦労しました。なぜなら右左の度数設定が右はミックスで乱視が−3.00Dもあり、左は近視性の複合乱視だったからです。しかも効き目が右、これじゃあ遠用専用メガネでも場合により視野には影響が出ると考えられます。
そこで、遠用の視野が出来るだけ多いレンズを使わないと横の視界が取れないというクレームにはなるなぁと考えて、一番のオススメがHOYAのFD、2番目がセイコーのP−1シナジー、3番目がHOYAのIDでテストして行きました。
FDと言うレンズは考え方で言うと、片方ずつの視野の形が楕円と思うとわかりやすいと思います。楕円が二つ重なった部分は、円が二つ重なった部分よりも範囲が広いです。その広さが他のレンズと違う部分、進化した部分だと思うと納得していただけると思います。お客様もさまざま試してみてこのFDが一番いいと選んでくださいましたが、レンズの選択だけでは終わらないんですね。

メガネのどの高さに水平ラインが来ると使いやすいのか、そこを間違うとこのお客様の場合はまた見えづらさに繋がってしまうと思いました。メガネのかけ方を見ていると、かなり高い位置にメガネ全体があるのがお好きなようで、何度も鼻の位置を直しているんですね。
そうなるとレンズの水平ラインはメガネ自体の水平ラインと同じにとどめておかないと遠用視野が狭くなり上に上がりすぎるために横が見づらくなるんですね。お持ちいただいたメガネはこの水平ラインが真ん中よりも2ミリ上で設定されていました。これでも間違っていないんですが、このお客様にとってはそれが一番の見えづらさの原因だったのかと思います。
これはレンズの加工時に気をつけなければいけないことで、これを気をつけるには度数設定の時点でよくお話を聞いておくことも、その方の好みを知っておくことも大事になってきます。

もし、今使っている遠近両用がどうも使いづらい、よく見えない、と言うご不満があるようなら、フィッティングを見直すと言うことからやっていくといいと思います。レンズを換えるのはなかなかね、簡単にできることだとは思いませんので(遠近両用レンズ、いいのになると高いもん)その前に遠くが見づらかったらメガネの位置が高すぎることが考えられるので鼻のあたりを広くしたりして若干下げてみるとか、近くが見づらかったら逆に顔にかかる位置を全体的にあげてみるとか。
度数が合わなくなっていたらこれをやっても根本的な解決にはならないんですが、まず、できることからって言うとこれはすぐに出来ることだと思うので専門店に相談するといいと思います。

でも、何度やっても遠近両用のメガネのフィッティングって難しいと思います。一人ひとり好みも見え方も違いますから、それを出来るだけ「ご希望」にあっていくようにするのがやっぱり一番大事だと思うんです。