murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

なんで遠近両用レンズは高いのか?

お手頃価格のレンズとは対極に、最高峰高性能高機能遠近両用レンズと言うのがあります。セイコーのスペリオールP−1とかニコンのシープラウドとかHOYAのトリニティとか。1枚が5万円以上はするし(ていうか7万10万は当たり前って感じ)一人ひとりの度数からオーダーメイドで最適設計をするのは当然ながら、使い勝手の本当に細かいワガママな部分にまで対応してくれるので(まずどこのメーカーもこのクラスになると本人のご希望通りのレンズとなるように発注前の設定が細かいのです。セイコーは1ミリ単位で内寄せ量とか累進体長とか決められるし、HOYAは生活習慣のチェックリストからベストマッチを割り出すし、ニコンは度数やレンズの形や近距離設定などから3Dでレンズ設計をするといったスゴさですのよ)揺れゆがみをほとんど感じない=自分の目で見ているのと同じ感覚となるレンズです。この「自然さ加減」はちょうど補聴器の自然さ加減と同じ感じです。現在販売中の最高峰の補聴器(私が知ってるのはシーメンスピュアとかビーバイリサウンドあたりですが)は、あまりに自然な感じで音が入ってくるので、本当に補聴器を使っているのか心配になるほどなんですね。でも聞こえてるし耳も頭も痛くならないし違和感というものを感じない、だから疲れないというのが今一番聞こえのいいデジタル補聴器なんですが、それと感覚的には同じだと思います(両方まだ使っていない方にはちょっと比較にならないですよね・・・・・)
しかし、ただやみくもに「いいレンズだから値段が高いんだ」では説明になりません。今日は実際に、HOYAFDをテストレンズで試してもらったときには気に入っていただけたんですが、いざ価格となったときに「何でこのレンズはこんなに高いのよ?」と聞かれたんですね。
うーん、と考えました。メーカーのパンフレットやHPを使って説明するのもたとえ話で説明するのも(お米にたとえるのは単焦点のときなら有効なんですけどね)いまひとつです。
ちょうど、メガネというか光学製品に詳しい営業さんが来ていたので聞いてみたんですが、これがわかりやすくて尚且つ専門的な説明をしてくれたのです。それは「カメラのレンズ」を例にとっていました。
カメラのレンズは、何枚ものレンズの重なりでさまざまな「収差」を解消させています。レンズで像を結ばせることによって起こる色のずれ「色収差」・光軸近くとレンズ周辺を通った光の結像のずれから起こる「球面収差」これを解消するために開発された非球面レンズ設計・光軸に角度をもって入射する光線が中心を通ったものと周辺部を通った光線が一つに結像しなくて尾を引いたようになる「コマ収差」・光軸に角度をもって入射する光線が結像する点が前後にずれるために円または楕円形にボケる「非点収差」・レンズの結像面が平面にならなくて湾曲した曲面になる「像面湾曲」・像の形がゆがむ「歪曲」でズームレンズの広角側で「樽型歪曲」望遠側で「糸巻型歪曲」がある、といったものをカーブ面の形の違うレンズを組み合わせたり、屈折率の異なるガラスレンズを貼り合わせたりして出来る複雑な構造により収差を「補正」しているということです。有名なのが凹レンズと凸レンズ6枚からなるガウス型と言うものがあるんですが、カメラを使ってより自然に被写体を写そうとすると、それだけの枚数を使っていかないと思うとおりに写らないということになるんです。
しかしメガネレンズはそれを1枚でやっています。遠近両用になると「歪曲」なんかはただ一つの度数に対してだけ行うのではなく、加入度数があることで生じた側方部の変化のゆがみに対しても補正していくことが必要になってきます。ミリ単位よりも小さな部分に対して、どうやって研磨していったらどうなるのか、どうカーブをつけていったら上手く補正できるのか、それを中心厚1ミリの世界に閉じ込めるんですから、これ、相当な技術ですよ。その分の価格と考えれば、より自然にとなるとカメラでいうレンズの枚数も精度も高くなったものがぎゅーーーーーっと凝縮するんですから、高くなるんだろうなと納得できます。
ところでこの説明は営業さんのオリジナルなのか?と思ったら、どこかのお店でお客様に説明していたのをしっかり聞いて覚えたとこのこと。素晴らしい、私も今後使わせていただきます。

ちなみに私が今一番ほしいカメラレンズはオリンパスE−520につけられる「ZUIKO DIGITAL ED 12−60mm」、超音波駆動方式SWD(スーパーソニック・ウェーブ・ドライブ)によるAFシステムを搭載した高性能標準ズームレンズ。119000円もする・・・・・・ので買えないデス(泣)



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