murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

遠視の方の遠近両用メガネ作成

今日いらっしゃった女性のお客様はHOYAのエアリスト300番を使っている方で、左レンズの破損でレンズ交換をとご来店されました。
HOYAエアリストはツーポイント(フチなし)フレームですが、これはネジのない特殊な構造をしていてレンズの側にフレーム本体とまるで木組みのようにきっちりと合わせることの出来る溝が彫ってあって、それとポリアミド樹脂やチタンなどの金属で出来た本体を接着するという造り方をしているんですね。なので、レンズ交換と言うとメーカーに送ってHOYAのラボで再加工してもらうことになるんですが、それには約1週間の時間を頂戴することになるんですね。ふちありフレームやナイロール(上だけに金属の枠があるものなど)フレームのようにレンズを注文して店頭で加工と言うわけに行かないんです。そういえば昔、HOYAのこのシリーズの初期モデルと言ってもいい「ピンフィール」を店頭加工できるメガネ職人さんが長野方面にいらっしゃるって噂で聞いたことがあるんですが、その方はエアリストも店頭加工できるのかしら?<ずっと気になってます
前データを調べると乱視もある遠視の方で、5年ほど前に遠近両用レンズで作っていただいておりました。現在の見え方の状況とかを確認していると、はじめは割ってしまった片方だけ、というのだったのがもう一度見え方を調べてみようかしら、と言うことになりました。ご本人はこの時点で遠くの見え方には問題がなく、手元が見づらく感じている、と言うお話でした。
調べていく手順としては、まずオートレフラクトメーターと言う機械で屈折力を調べます。これは検影法と言う技術をより簡単に出来るようにした機械ですが、これにより瞳前方から眼底に光を入れ、はねかえってきた反射光の動き・時間で屈折力を測定するというものです。ですがこれは「だいたい」を出す機械で、正確な数値が出ているとは限りません。でもこれで「だいたい」の数値がわかるのでそれを元に検眼システム装置(というと大仰だけど、パネルチャートに映ったいろいろな映像を見てもらいながら右がいいとか左がいいとか言ってもらうもの。ここではランドルト環は見ないので、視力が数値としてどのくらいかと言うのはわかんないので他覚的検査をするというわけですね)を使い片眼ずつ細かくデータを出していきます。一番気を使うのは乱視があるかどうかというところとレッド・グリーンテスト、遠視の方にはこのレッド・グリーンテストで度がマイナス寄りになっていないかどうかをきっちり確認しておくことが必要になります。特にこの方の場合は今までよりもプラス度数が5段階くらい強く必要だとオートレフの段階でわかっていたのでチェックはなおさら慎重になります。遠視の方に、プラスを強くしすぎると遠くがぼやけて見えるという状況に、マイナス寄りになると今までの状況に近いので慣れやすいかもしれないけど視力が出にくい、または近用度数に大目の加入度数を必要とすることになる、ということが考えられるので、これはきっちりやっていくんですね。
次にはやっとランドルト環になるんですが、一応プログラム組んであるとおりにやってくんでこのときにはまず0.6の視力確認と1.0の視力確認をしていきます。いろんなメーカーが検眼システム装置を出してるので、どこのメーカーを使ってるのかでこの順番は違ってくると思うんですが、大体機械を使っての他覚的検査は片眼7〜8段階くらいの行程があると思います。両眼終わったら右左両方とも遮蔽しているのを解放して立体視の確認をします。
これで特に問題なかったら掛け枠テストになってくんですが、ここの段階で明らかに視力が出にくいとわかったら眼科に行っていただいたほうがいいかもしれません、と説明させていただいてます。メガネ屋ができることは目の前にどんなレンズを置いたら視力が上がるか、という確認で、目の中にもしなんらかも問題があって視力が上がらないとしたらその原因は何であるのか、判断することは出来ないんですね。眼科医じゃないから。
掛け枠テストではまず放射状になっているパネルチャートで乱視の確認とその軸度の確認、次にもう一回レッド・グリーンテスト(これはしつこいくらいやりますよ/笑)を右左の順にやって、両眼終わったら利き目のテストをします。これはパネルに光の点を一個表示しておいて、両手で持ってもらった棒とその光が大体重なるようにして両眼で見てもらった後、片眼ずつ遮蔽してどっちで見たときに棒(または光)がずれたかを聞いていきます。ここでずれなかったほうが利き目、利き目が優先的に視力がでていればバランス的に問題はないんだけど、極端に違ったり利き目の視力が出にくかったりすると立体視に影響したり、なによりものを見るときの感覚がなんかおかしいなって感じになります。それはどういったものなのか、疲れやすいとか、焦点があいにくく感じるとか、強く感じるなどさまざまありますが、視力がでるでないよりも利き目を優先させたほうが楽にものを見ることができるメガネになっていきますね。
その後は両眼で見たときの視力の確認をして、やっと手元を見るときに必要な加入度数の確認に移ります。手元用のメガネを作りたいといって来店されるお客様の中には、ここまでの遠用度数の視力確認をなんでやるんだとお聞きになる方がいますが(遠くのメガネを作りに来たんじゃない、と言われることが以前はありましたね・・・最近は言われなくなったのは、もしかしてこっちの貫禄が<体形的に>ついてきたからか?)これは家を建てるときで言うと「基礎工事」部分になるんでやらないと先に進まないんですよねーいろいろお聞きすることがたくさんあって、ここまでの行程で疲れちゃう方もいるんで途中休み休みやっていきます。
手元用の視力確認は近業距離の確認からやっていきます。眼科さんのように決まりきった35センチで、というのもありですがウチはメガネ屋ですから、お客様のご希望を優先させます。人によっては文庫本を持って読む距離にあわせるとか、広げた新聞を見渡すようにあわせるとか、いろいろ好みが違いますのでそれを聞くのも大事なことです。
このお客様の場合、軽く肘を曲げた距離で新聞のテレビ欄を読めるようにということでやっていったら加入度数は今までと同じでいいことがわかりました。遠用度数が3段階あがってるのでその分手元の度数も上がってることになりますから、それで十分だということですね。
あとは各メーカーのテストレンズでどれが一番感じのいい見え方になるか、それを確認していってレンズの選択にはいります。
うーん、自分でやってることですが、この行程を書き出してきるとなんか再確認できるものですね。この間にもお客様とはいろんなお話をします。聞けるようだったら趣味はどんなことですかとか、車の運転や自転車に乗ったりとかはどのくらいの頻度なのかとか、普段は室内にいることが多いのか外のほうが多いのか、情報は多ければ多いほうが遠近両用の場合オススメするレンズの私の側のランク付けがしやすくなります。今回の場合レンズはHOYAしか使えないとわかっているのですが、それでも3種類テストレンズがあってどれが一番いいか、こっちが迷うとお客様も迷いますからね。手元が楽に見たいとおっしゃるので今回はFDをオススメしました。IDもいいんだろうけど、遠視の方だとどうもFDのほうが評判いいですよね。でもあくまでも最終決定はお客様ですので、その参考になるように知ってることは何でも話します。
ただウチの店は私も社長も説明が長すぎるって言われるんですよねー(汗)必要のない事は言わないもんーーーー

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