murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

ウチの店であまりオススメしていないこと

ウチの店であまりオススメしていないことと言えば、ズバリ「メガネレンズ用洗浄剤(スプレー式のもの)」である。
これにはちゃんとした理由がある。「メガネレンズ用洗浄剤(スプレー式のもの)」、これは携帯用に小型になっているものがほとんどでシュッとレンズに吹きかけてあとはティッシュペーパーでふき取ればレンズがきれいになるという、一見とても優れているように見えるものだけれど、しかしだ。そのスプレーをかける前のメガネはいったいどういう状況になっているのかと言うことを考えて欲しい。例えば指紋がついて汚れている、また普段顔にのっている訳だから外気に触れているわけで、その空気中に含まれている細かい埃が付着している。メガネをきれいにするために、それらを取り除くために洗浄剤を使おうとするわけだけれど、スプレーしてふき取るということは、それらがレンズの上に乗ったままでティッシュなりハンカチなりで擦りつけながら取り除いていると言うことになる。
1回や2回でそういったことの影響が顕著に現れるとは思わないけれど、それが習慣になったらどうだろう。毎日毎日、目に見えないほど小さな埃かもしれないけれどそれを何度もレンズに擦り付けている訳で、1年2年と続いていくとその影響は確実にわかってくるようになる。
当然ながら、洗浄剤を使わないで乾拭きをしている場合にもその影響はでる。メガネレンズを陽にかざしてみると、うっすらと円を描くようにして無数の細かいキズが表面を覆っていることがある。それはもうレンズのコーティングについたキズであって取ることは不可能と言うことになる。
なぜこうなるのか、だけれど、ガラスレンズでもプラスチックレンズでも、レンズ自体の上に乱反射防止コートや水やけ防止コートなど、普段メガネとして使っていただく上で快適になるように工夫された表面処理がなされていて、そのおかげで裸眼(メガネをかけていない目)にかなり近い見え方になるようになっている。そのコーティングがされていないと、たとえば写真を写したときにメガネの所だけ光を反射して真っ白になってしまっていた、なんてことになったりするし、ものを見ていても目の前が白っぽくちらついて見づらくて仕方がない、ということになる。これはかなり強度も持たせているのでそう簡単にはがれることはないのだけれど、毎日何回も同じ刺激を加えることが続くとだんだんそのレンズのコーティングも弱ってくることが考えられるし、レンズ自体の寿命も大体が3年程度なので、その経年変化に拍車をかけることになる。
ならどうすればいいかと言うと、難しいことではなくてメガネ自体を水洗いしてくれればいいのである。
この場合、メガネの全体に水をかけるだけでいい。レンズの汚れが心配なら一旦全体を水洗いして埃等の汚れが落ちた段階で食器洗い洗剤(中性洗剤)を少量レンズにつけて指で洗っていただくといいと思う。このとき決してスポンジなどを使わないことだ。レンズにとっては指の柔らかさ以外はどんなものでも「硬い刺激」になるので絶対に避けて欲しい。またこのとき使う水の温度にも注意したい。食器洗い等は熱いお湯のほうがさっぱりすっきり汚れが落ちるのでメガネもその方がいいのかと思いがちだけれど、メガネには上に書いたようにさまざまなコーティングが施されていてこの膨張率が一つ一つ微妙に違うのである。熱いと感じる程度のお湯を使って洗うと、レンズの表面でこのコーティングが目に見えない範囲で膨張し、また収縮する。そのときに起きる差が細かい皺になって残る。この状態をクラックと言うけれど、これも1回や2回じゃ目に見えてわかる訳ではないので習慣になっていると、だんだん年数を経つうちにレンズが白っぽく曇ってきているなぁと思うようになっていく。残念ながら、良かれと思っていることがレンズにはよくないことだったりするのである。
最近は家庭用の超音波洗浄機も結構手ごろな値段で出回っていて、これを使うと本当にすっきりときれいになるのだけれど、この使い方にも注意していただきたいことがある。洗浄時間のことだ。超音波にかけている時間が長ければいいというものではないので、毎日洗浄機を使っているのなら30秒程度で十分だしどうしても汗などでドロドロにまでなったメガネを洗わないといけない時には、思い切ってレンズを外してから洗浄していただくことをオススメする。レンズだけは水洗いして、必要ならそのあとに中性洗剤なりメガネレンズ用洗浄剤を使ってもらってもいい。大切なのは、「先に水洗いをする」と言うことなのだ。
いずれの場合も、最後にはすすぎ洗いをしてそのあとすぐに表面についた水滴を乾いた柔らかいタオルやティッシュペーパーで優しく拭きとるのを忘れないで欲しい。そのまま乾くまで待つ、なんてことをしていると表面に水やけの丸い痕が残っていったりするからだ。そのあと仕上げにメガネ用のクロスで吹き上げていただくと完璧なんだけれど、行程を書くと長ったらしいけどやってみると1分もかからない作業だったりするのだ。
最新のレンズでは表面ツルツルコートや最強化膜コートなど、このキズと汚れに対しての対策がとられているレンズが発売されているけれど、要は扱い一つでどんなレンズでもきれいに長く使うことは出来るので、メガネを作った時に貰う「取扱説明書」などをよく読んで、または店での説明を聞いていただいて、大事に使っていただきたいと思います。



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