murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

レンズのコーティングの話

メガネのレンズ、特にプラスチックレンズは手入れ一つですぐに傷が付く、とよく言われてきました。汚れたらすぐに綺麗にしたいのに乾拭きをしたら表面に付いた汚れをこすり付けることになるから傷になる、汚れかなと思って強くごしごしと拭いたらコーティング剥げでますます傷が深くなってコートが剥がれてしまった、台所仕事をしているときに使っていると、どうしても熱い鍋の上に顔を出すことになるのでメガネが熱くなる、するとそんなに長く使っているわけでもないのにひび割れが見え始めた、などなど。
ガラスレンズは元々の素材が硬いです。なので硬くて傷が付きにくいという特性はガラスの方が勝っているのは周知のことですが、しかしガラスは重たくて割れやすいと言う欠点があり、長時間の装用ではこの重さがネックになることがしばしばです。私も、はじめて掛けたメガネがプラスチックレンズだった所為か、ガラスレンズを掛けると言う気は全くおきません。重いんです、同じ度数で作ったら倍以上はあります。またガラスは薄くなったら軽くなるかと言うものでもなく、比重が増すので薄型を使っても体感する重さは私の度数になると(S−1.50Dくらい)あんまり変わんないんです。
このガラスの硬さに近づこうと言うのがプラスチックレンズの各種コーティングで、その表面処理技術は今ではいろいろな場面で使われています。携帯電話の画面にだって、表面処理は施されていますしね。そのコーティングの構造は、単純に絵にするとこんな感じになります。

f:id:k-hisari:20081024153017j:image

基材(レンズを形成している素材)は数ミリ単位、マイナスレンズだと中心厚はたいがい1ミリ設定ですが、その上のハードコートは数千分の1ミリ単位、反射防止コートは数百万分の1ミリ単位、撥水コートも数百万分の1ミリ単位(5〜10nm)なのでとにかく薄いんですね。そこを恒常的に擦っていると傷になる可能性はやはり高くなります。表面にホコリやゴミがたとえ目に見えない大きさであろうと付いていたら、それは大きな傷をつける原因になります。熱によるクラックというのは、この表面についているコーティングが膨張することによって起こるものではないんですが、基材であるプラスチックレンズとハードコートが55度以上の温度に加熱されると膨張するので、その上についている反射防止コートが引っ張られてひび割れることによって目に見える皺になって残ります。基材に対しての表面コートの強さが、目に見える皺になるかならないかの差になると思います。
今まで発売されてきたレンズはだんだんとその熱にも摩擦にも強くなってきましたが、取り扱い一つでやはり違ってきます。「メガネのお手入れ」の項 http://d.hatena.ne.jp/k-hisari/20081021/1224563361 でその点詳しく書かせていただいていますが、どんなに強いと言う謳い文句で発売されたレンズもこの基本の取り扱いをしてもらえないとそのうち「必ず」傷になったりコーティングが剥げたり、クラックが表面化してきたりします。

これを書いている最中にHOYAの営業さんが店に来て、実際にヴィーナスガードコートのレンズを見せてくれました。なるほど、静電気を抑える効果は高そうです。

普通のNL16S−Hハイビジョンコートレンズ マイナスレンズ
f:id:k-hisari:20081024221414j:image
白ビニールテープを細かく切り、レンズをその上に乗せてレンズの上からメガネ拭きの布で強くこする(静電気を起こす)
f:id:k-hisari:20081024221415j:image
レンズにテープがくっついてきた

NL16のレンズにヴィーナスガードコートがかかっているもの プラスレンズ
f:id:k-hisari:20081024221416j:image
同じようにテープの上にレンズを置き、同じメガネ拭きの布で強くこする
f:id:k-hisari:20081024221417j:image
テープはついてこなかった

何度かやり直しをしたけれど、ヴィーナスガードコートレンズのほうは何度やってもテープはまったくついてこなかったです。営業さんの話では静電気に関しては現在発売中のどのメーカーのレンズよりも勝っているんだそう。しかもコーティングの強さはハイビジョンコートやビュープロテクトコートの2〜3倍、SFTコートの1.5倍、表面がとにかく硬いんだそう。熱に対してはセイコーのオーガテックのほうが強いという話ですが、あれは有機コーティングであって考え方が違うしなぁ。
若干レンズ全体の色味が、コーティングの種類の所為で黄色みを帯びるとのことですが、実際に見ると一番最初にUVカットが出たときに比べるとそれほどでもないかな、と思うくらいです。でもHOYAのレンズやアサヒオプチカルのレンズは時々「このレンズ黄色っぽい」と言われることがあるので販売するときにはきちんと説明しとかないといけませんね。薄い色に染色するとこの黄色みはもっとはっきりと「違い」がわかるそうです。

しかしいろいろと話を聞くと、いくら強いレンズだといっても手入れは基本にのっとってやらないといけないんだそうです(汗)やっぱり「基本は水洗い」は守らないといけませんね。




にほんブログ村 健康ブログへ

メガネ男子同盟 メガネ女子同盟