murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

最新レンズばかりがいいと言い切れない

遠近両用レンズを長年使っていただいているお客様から、「新しく作ったのはどうも遠くがぼやけて使いづらい」というクレームをいただきました。1998年ですから今年で10年、使用年数としてはほぼ等間隔でのべ5回レンズを換えていただいていて、今年のメガネは昨年作ったものと同じ遠用度数で手元の度数だけ強くしたいとのご希望があって新調したものです。その際のご注文は「今よりも手元がはっきりすること」「今よりも手元が広く見えること」と手元重視ということで、それには何度か新商品が出ると差し上げているDMで最新型レンズの宣伝文句に、より手元がはっきりするとか見る姿は見られているとか視線移動がスムーズとか、従来品よりももっと自然な見え方になるといった部分が強調されているのが影響していたようです。また新調していただいたのが9月頃でしたから、ちょうどサラ・ペイリン氏のメガネが話題になった頃でくっきりはっきりした四角いメガネが流行った頃でした。それまでの楕円形で小さ目から、顔を覆いつくすような大きめなメガネをかけてみたい、というのもご希望の中に合ったのですが、それもどうも「やってみたらうまくいかなかった」と言うものらしいです。
レンズについては状況を詳しくHOYAに伝えて、お客様相談室にも営業さんを通じて話を聞いてもらったのですが、結局はレンズの設計の違いによるものとわかりました。
こちらのお客様にはここ8年ほどはHOYAのGPと言うレンズを使っていただいていて、これが新しく作ったFDと比較するとさながら「球面レンズと非球面レンズ」の差ほどの違いがあると言うことで、同じ度数で球面レンズで作った場合と非球面レンズで作った場合の収差やパワーエラー等の影響度が見え方の違いになったんだろうというのです。
球面レンズは文字通りレンズの表面が球体の一部のカーヴを持っているレンズで、このレンズは周辺部に行くにしたがってパワーエラー(レンズの光学中心から周りにずれていくと度数の誤差が生じること)がおきて、マイナス度数の場合にはマイナスの度合いが強くなる=度の強いメガネになってる感じになる、ということがおきます。非球面レンズはこれも文字通り表面が球面ではないカーヴを持っているレンズのことで、フラットカーヴのレンズにあわせて収差やパワーエラーが出ないように一つ一つ修正をしていった面で出来上がっているレンズです。したがって球面レンズではパワーエラーが起きて度が強くなっていると感じる方向(箇所)を非球面レンズで計測すると全然度数が違っている、度が弱く感じると言うことがおきるんですね。
「手元の見え方や視線移動には全く問題ないけれど、周りを見たときに見える範囲が狭くなって遠くがぼやけて見える」というのは、この差を感じていらっしゃるんだということだと思うのです。
例えば段階的に、HOYAのレンズならGP→サミットプロ→FDと変えていただいていたり、最初にサミットプロを使っていてFDとなってきたのならもう少し緩やかな変化だったと思いますし、度数が極端に違う(マイナス度数が増える)とか遠視であったなら揺れゆがみが少なくて済むので慣れも早いと思うのですが、同じ度数でGPからFDと言うのは難しいかもしれないと言うのがウチの店の担当営業さんのお話でした。また、若干の度数変化であったのなら、GPからのレンズ変更はサミットプレミアムにしていくとスムーズだろうとも言ってました。この場合は、加入度数が上がっている場合には特に違和感が少なくて済むというので参考にしたいです。
今回はクレームにてレンズ交換をするということでGPに変更させていただくことにしました。違和感と言うのは人それぞれ感じ方が違いますので、このケースが全てに当てはまるとは思いませんが、新しい設計のレンズばかりが使いやすいものではないという勉強になりました。



にほんブログ村 健康ブログへ