murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

見え方の「本人希望」は四角四面では行かない

見え方ほど、「本人希望」と言うのに左右されるものはないと思うことがあります。3月に作ったメガネがどうしても合わないということで何度か来店していただいている70歳代の男性から、今日は「自分で自宅でやってみた」という実験を聞かせていただきました。
3月に調べて作ったときにはすぐに慣れていただいて2週間ほどは問題なく使えていたのだけれど、少しなれてきてテレビを見たり外で歩く時に使ってみるとどうしても「なんか変だ」と言う感じがするので来店していただいては視力の確認をしていていた。右目はそのたびにばっちり作ったメガネと同じ度数で出るし、左目は乱視が右目の3倍ほどで出てくるのでそのままではどうにも掛けられなくて、両眼視をして楽な状況になるまで度数を落として掛けていただくという方法をとっているのだけれどそれも最初の時と同じように変わらないデータで出てくる。そうして掛け枠にすると両眼視では全く問題ないのだけれど左目だけで見ると世界が歪んで見える、というのでメガネの度数ばかりではなくてもしかしたら網膜の方に異常があるのかも、と心配になって眼科に行っていただいてみても、例えば心配していた変性症などがあるわけではなく、右目に比べると左目の視力の出方が思わしくないし白内障もあるのだけれど先生の言うところによると「なんら心配な状態ではない」とのことで、一応作ったメガネを調べていただいても度は合っているのでこれでかけていていい、という結果が出たことは確かなんですが。
ご本人は左目の見え方がどうしても気に入らない、というのですね。
メガネデータとして何度か取り直しをして出てきている左目の乱視角度はいつも140度なんだけれど、、今日の『実験』で聞かせていただいたのはメガネを斜め上にずり上げると見やすく感じる、ということは乱視軸度がほぼ水平(180度)になるとぶれがなくて気に入った見え方になる、というのです。
うーん・・・40度の狂いですからね、一応もう一度データを取らせていただいて確認しましたが、オートレフラクトメーターの結果とランドルト環の視力表と放射線になっている乱視表を使って調べる他覚的検査ではやっぱり左の軸度は140度なんですね。両眼視検査でもそれで問題はないんだけれど掛け枠テストの時に片方ずつ見比べると左だけものがぶれて見えるというわけで、そうなってくると他覚的検査のデータにこだわるのではなくて自覚的な部分、感覚的に「見やすい」ところを取っていかないと納得できるメガネにはならないわけで、その点は説明をして「本人希望」として乱視の軸度を変えていくことにしたんです。当然、無償交換です。
水平の方が楽と言うのでそこから10度ずつ140度方向にずらして行くやり方でどこが一番いいのか見ていっていただくと、170度のところが一番ぶれないというので作り直しは度数は変わらずに軸度だけ変えてと言うことで落ち着きました。
何が眼の中で起こっているのか、実のところ私にはわかりません。眼の中を調べてもらっても、現状でなにも心配なことはないというのだからその奥での問題かもしれませんがそれをレンズで修正するというのは無理な話だと思います。しかし、実際に使っている方の感覚として、今よりももっと見やすい状況があるというのだったらそれにあわせていくのが一番いいと思います。
いくらデータがこうだと言っても、そうでは行かないことがあるわけで、そこは柔軟に対応していこうと思いますね。って言うか、そうしていかないといけないと思います。