白内障の手術とメガネ
今朝いらしたお客様は、数ヶ月前に白内障の手術をされて今回メガネの処方箋が出たとのことで来店されたのだけれど、今までメガネそのものを使ったことがなく（一見して７０歳代よりは上の年齢の方だけれど、なんと遠くも手元もメガネなしでずっと平気で見てこれたとのこと！）眼科でメガネの必要性を聞かされてはじめて「自分はそんなに目が悪くなったのか」と驚いたのだそうです。
手術前、ここ何年かでずいぶん物の見え方が悪くなってきたと感じてはいたけれど、それも年齢の所為だと思ってほったらかしにしていたら廻りから眼科へ行く事を勧められ、行ってみたら白内障で手術をしないと視力の回復はないよ、とは聞かされていたらしいんですが、まず眼内レンズを入れるとその時点で水晶体の厚みを変化させることで出来る調節力と言うものがなくなるのでそれまでの自分の目で見ていた世界とは異なる見え方になる、ということを、どうもご理解していなかったらしいんですね。
処方箋は両眼とも乱視で−１．５０Ｄと−１．２５Ｄが９０度方向に入るもの、この状態だと裸眼では物が横に引っ張られてて、水晶体が変化しないので見え方の補正は出来ないからなんでも横に伸びてるように見えてるんです。しかしお客様にはその部分はとにかく「見えにくくなった」でしかなく、メガネをかければちゃんとよく見えるし、眼科では遠方視用と近業用の度数提示があったらしいけれどテレビがよく見えればいいということで今回の処方箋では遠方視用のメガネだけを作ることになっていました。そのこともお聞きするとメガネを作れば何でもよく見えるようになるんだろう、と言う程度の理解でしかないし、出来合いの老眼鏡のように自分に合ったメガネはもう出来ているものだと思っていた、とも仰るので、うーん・・・と考えてしまいました。
お話していて、ご本人がまず不満に思っているのは手術する以前の見え方のほうが自分にとってはよく見えた、ということで、「目が悪くなったから手術が必要です」といわれて手術すれば良くなると思っていたのに、自分の目だけでは焦点の合う場所が以前と違うし、今まで必要ないと思っていたメガネが要るということもどうも納得していないよう。なんで手術前よりも見え方が悪くなったのか、と聞かれてもメガネをかければちゃんと見えるでしょう、と言うしかなく事実その通りなので処方箋どおりメガネを作ることになるわけだけれど、その前段階の「手術の必要性」と「結果の説明」がなされていないもしくは本人の納得がない状態で進めてしまっているのではないか、と思うんです。
結局今日のところは私の「メガネを作る為の説明」を聞いて、家族に判断してもらってからメガネを作るかどうかを決めるということになりました。
でもメガネを作るかどうかをに関しては、手術をすると決めたときに成されていると思うんですよね。その説明する役目はメガネ屋だろう、と言う人がいるかもしれないけれど、この場合のメガネ屋は事が全部終わってからのデータで状況を知るしかないのでその前を知らないと出来ないこともあるんです。今日のお客様のように、「なぜこうなったんだ」と言う思いを抱えたままメガネを作っていただくことになるのは、私はどうにも納得できないんですね（私が納得しなくてもいいかもだけれども・・・・・）
せめて、手術にいたる経過なり結果なりを、ご家族と一緒に説明を聞いていただければよかったと思うんです。
ところで、アスパラクラブで掲載中の「大相撲力士の網膜はく離」の記事は、アスパラクラブの会員になるとバックナンバーでそれまでのものも読めるようになるんですが、豊響関の前には一条ゆかりさんの「緑内障」のことが載っているんです。これも一読の価値あり。ぜひぜひお読みになってください。
