murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

周りがぼやけるんですという人

その方は、初めは手元用のメガネを作りたいと仰って来店されました。今までは100円ショップで買った老眼鏡をかけていたんだけど、ぱっとかけた瞬間はいいんだけどそのうちどうしてもぼやけて見えてしまって、見え方が長続きしないのはどうしてでしょう、というのがご相談の主な内容です。年齢は50歳後半、常に新聞のテレビ欄くらいの字を見ている仕事なんだそうです。
とにかく、遠用度数を測りました。どんな場合でも遠方視に必要な度数をきちんと調べるのは家を建てるときにきっちりと正確な基礎工事をしないとまともな家が建たないのと同じように大事で必要なことです。またこれができないと話が先に進みません。で、調べましたらなんと「右目は遠視+遠視性の乱視(しかも乱視の完全矯正値は+1.50D)左目は遠視+近視性の乱視(こちらの乱視の完全矯正値は−1.50D)」という、左右とも乱視の矯正が必要かつ重要な役割をしている目だったんですね。
乱視表を見ている段階で「周りってこんなに綺麗に見えるんだ」というお話が出て、ききめを調べる段階ではだんだん慣れてきたのか「目を開けているのがこんなに楽だとは思わなかった」というお話がありました。遠視の方は自分で意識しないでいる方が多いんですが、部屋の中とか、普通に見える範囲で自分を中心に2〜3メートル、もうちょっと広くても5メートルくらい離れているところが壁だったりするのが建物の中だとするとその見える範囲ではずっと目を調節して、極端に言うと目を細めてものを見ている傾向にあるんですね。テレビの距離なんかは確実に目に調節がはいっている(細めている)状態で見ているから、2時間ドラマなんて見ていると終わった頃にはぐったりしている方が多いと思うんです。近視の方は遠視の方とは反対の意味で目を細めないと見えてきません。やはりそれも調節を使っているんですが、遠視の方は遠くにある焦点をぐっと手前に持ってくるということをしているんですが、近視の方は手前にある焦点を頑張って遠くに飛ばしてるんですね。どっちも疲れるだろうけど、こと「テレビを見る」ということに関してだけ言えば、近視の方はテレビそのものに寄っていけばピントの合う距離というのがどこかにありますから遠視の方よりも「見える場所」というのはあるかもしれません。でも、あんまり目にとってはいいことじゃないんですけどね。
遠視の程度にもよりますが、今日のお客様の遠視は出来れば早いうちに普段使い用(遠方視用)のメガネを掛けていただいたほうが身体のためにもなると思う程度のものでした。見え方を調べていくうちに自分が普段どんなものの見え方をしているのかお話して下さっていったんですが、とにかく周りがぼやける、人の顔も面と向かっていてもちゃんと見えていない、というんですね。で、それは全部「老眼になったからだ」と思っていたというんです。なので老眼鏡をちゃんとしたものを作ればいいだろうと思ってきた、というんですがそうじゃなかったんです。遠視と近視と乱視の全部を持っているから、きちんと矯正しない限りどこにも焦点の合う場所がない、という目をしているからだったんですね。
ただこの方は、今まで老眼鏡(しかも100円ショップで買ったもの)以外メガネをかけたことがなかったわけですから、いくらメガネをかけたほうが周りがよく見えるとわかってもすんなり「じゃあ普段用のメガネをかけよう」という気にはならなかったんです。実際ずいぶん迷って、遠近両用も試してみて、その上で出したのは「今回は老眼鏡のみを作る」という結論でした。
これは、調べた目の状況からすると「それでも構いませんよ」といえるような選択ではありません。ホント言うと、私は老眼鏡よりも先に普段用を作ってもらいたいくらいですが、予算もあるしはじめから老眼鏡をとの希望がありましたから、ご自分の目の状況をしっかりと知っていただいて、近いうちに遠方視用も作るということになりました。
見え方がおかしいなと思っている方の中には、調べてみて初めて遠視だとか乱視だとわかる方が結構います。近視はとにかく遠くが見えにくくなってるんですぐにわかるんですが、遠視は調節して見えてしまってると気がつくのが40代以降の老眼世代になってからという方が少なくありません。遠視・近視・乱視はいったいどんなものなのかセイコーオプチカルのサイトが割とわかりやすく説明していますので、よかったら参考にしていただいて「自分はどうかな?」と思われたら是非一度調べてみることをオススメします。
セイコーオプチカル 「目とメガネに関する情報」−−「遠視とは?近視とは?乱視とは?」−−http://www.seiko-opt.co.jp/eyeinfo/index2.html