murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

強度近視、見え方を取るか厚みをとるか

60歳代の男性の方で、長年強度近視なのでガラスレンズを使っている方から「視野を広げたいので枠の大きいものがほしい」と言うご相談を受けました。たとえばゴルフのとき、切れ気味に飛んでいくボールを見失うというんです。顧客データを見ると現在使用している度数は強いほうの右が−9.00D、左は−8.00Dですが、そのメガネを使って実際調べてみると右の視力は0.6、左は1.0でした。
これでは見え方のバランスが取れていないので、左右の視野だって違いが生じていますから単順に枠の大きさを大きくしても視野が広がるとは思えません。視力の確認の為社長が度数の確認をしたんですが、結果は右−10.00D左−7.75Dで左右とも1.0の視力が出て、視野も広がり遠近感もとれてとても快適な見え方になった、とご本人も仰っていたんですが、ここで問題が発生しました。度数を新しくした場合、加工したあとのレンズの厚みが右レンズは今までよりも当然厚くなってしまうんです(−1.00D分、4段階UPですので)それが「大問題」だったんです。
今回枠も変える予定でいたので、まずはそこからの見直しなんですが最初の希望通り「大きい枠」にするとこれもレンズの厚みを増す結果につながります。今は52サイズの枠に1.8の屈折率のレンズ−9.00Dを入れていて、PDの位置から28ミリ分耳側水平ラインの加工後(バリ取りもした後)の厚みが5.4ミリ、メーカーレンズデータによる計算上の厚みが5.5ミリですからまぁこれは計算どおりってことになると思います。これが−10.00Dになって55サイズの枠に入れるとなると、厚みが6.8ミリ、54サイズだと6.5ミリ、52サイズだと5.9ミリになるという、全て計算上ではありますが確実に今までよりも厚くなるというデータが出たところで「うーん」となったんです。
厚みのあるレンズは使いたくない、出来る限り薄くしたい。これが、お客様の「譲れない」部分だったんです。
今現在、国内で販売されているレンズで最高に薄くなるのはガラスの1.90という屈折率のもの、と記憶しています。複数のメーカーが出していますがウチの店で扱うのはHOYAのTHI1.9になります。これはかなり薄いんですがその分屈折率を上げるために金属の混ぜ物をしてあるので比重が重くなります。上記の条件、−10.00Dで55サイズに入れるとすると厚みは6.1ミリと0.7ミリ薄くなりますが重さは約3グラム(60パイでの比較として)重くなります。しかも価格は約倍の値段になって仕舞いますし(ウチの店ではTHI1.9は1枚32,000円します!でもいまだに売った事ないですーーー/汗)加工がなんたって難しいと聞いているのでどうも積極的にお勧めしたいと思わないんですね(汗)しかし今日のお客様のご希望には沿えるかも、と話してみましたがやはり値段の面でこれはパス、と言われました(やっぱり)
そうなると、どっちを取るか、です。見え方・視野の広さを取るか、レンズの厚みを取るか。ただ確実に言えるのは度数を落として厚みを抑えたとしても、視野は広がらないという事です。利き目が右だったために、こちらの視力が足りないのはどうにもなりません。ならこれで視野を広げるには左も落とせばいいかと言うと、中間距離が見やすくはなるでしょうが遠くの視力が確保できるかと言うとそうはならないでしょう。見え方優先で考えれば右の度数を上げるほうがいい、となるんですがお客様はこれをかなり悩まれました。
よくよく聞くと、悩んだ理由はもう一つありました。今の状態で右目で手元を見て、左目で遠くを見る、というように器用に使い分けていたんですね。ただまぁこれは、いわば基礎工事の段階で段差のある土台をわざわざ作ってその上に建物をたててる様な感覚なので、疲れ目の原因になったり視力が出にくくなったりする事があるんでお勧めできるものではありません。
だいぶ悩んでたんですが、遠くが見やすい状況を作る事と複数のメガネの使いわけをしていくということに落ち着いて、今回は右−10.00D左ー7・75Dのメガネを作る事になりました。でもまだ枠は決まってないんですねぇ・・・見本を何本か候補に挙げたんで、今度はそれで悩まれることになりました。
削る前ならどんなに悩んで貰ったって構わないので、最後は納得して作っていただけるよう、トコトンお付き合いしますよ〜




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