murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

レンズのコートはどのくらいの厚さなのか

昨日の続きです。レンズの拭きかたしだいで長持ち度に違いが出てくる、となると気をつけるのに越したことはないんですが、レンズのコートがどんなものなのか、それによっても違いが出てきます。当然ですが、傷のつきにくい効果を持たせてあるコート(耐キズ性能コート)はそれがかかっていないものよりはダメージが少なくなります。しかし厚みはかなり薄いのでなんに対しても傷がつかないというのではないということですね。
今までウチのお客様の中では、乾拭き以外では木の枝に引っ掛けてキズを入れてしまったという方やメガネケースの中に時計やカードなどを一緒に入れていたためにキズを入れた方、常にレンズ面を下においていたと言う方など、その理由はさまざまですがちょっとした注意で防げるキズ入れは多くあります。いいレンズを使ったのに、といわれることもありますがレンズ自身の強度よりも硬い、又は強い力が加わったらキズは入ってしまうんだということをご理解いただきたいとお話しています。
では、そのレンズのコートはいったいどのくらいの厚さなのか、ですが説明シートではそれを「家庭用包装ラップ」と比較しているんです。わかりやすいって言えばわかりやすいですが(笑)
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参考:「レンズのコーティングの話」http://d.hatena.ne.jp/k-hisari/20081024
レンズの基材のすぐ上にかかっているハードコート(レンズ基材を保護する為のコート)は家庭用包装ラップの約10分の1の厚さ
次の反射防止コート(反射によるチラつきを抑え鮮明な視界を確保するコート)は家庭用包装ラップの約100分の1の厚さ
一番上の撥水コート(水滴が乾燥したときに起きる水やけを防止するコート)は家庭用包装ラップの約1000分の1の厚さ
となっています。どのコートもレンズそのものの機能を損なわないために、これ以上厚くすることは出来ません。また、反射防止コートは1万分の数ミリと言う厚さで、これ以上厚くも薄くも出来ないものなのです。
わざわざ傷を入れようとすることもないでしょうが、例えばHOYAで行なった実験では最上級耐キズコーティングである「ヴィーナスガードコート」は3キロの荷重で砂消しゴムを5回こすり付けてみると通常のハイビジョンコートでは肉眼でしっかりわかるキズがつき、割れにくいと評判のSFTコートではうっすらわかる程度なのが、倍率を100倍にしても肉眼ではわからない程度のキズしかつかないという強度があります。しかし、これを毎日繰り返したら(レンズの乾拭きを毎日する)、それにプラスして温度が高くなったら(食器洗いのときと同じくらいの温度でメガネを洗う)、必ずしも「キズがつかない」とはいえなくなるんですね。
私もヴィーナスガードコートのレンズで作ってあるメガネが1本ありますが、家事をしていて入るクラック(ガスコンロの近くとかやっぱり行きますからね)は約1年経過した時点で極々うっすらですがすでに入っています。そこをごしごし擦っているとそのうちコーティングはげが起こるのはたしかなんですね。どんなに気をつけても「通常の状況」でコートの表面変化は起こりますので、やはり拭きかた扱い方に気をつけたいと思うんです。