murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

上質なエッセイ

某検索サイトにはこのメガネ屋さん日記は「エッセイ」として登録させてもらっているんですが(かなり無謀だ)、毎月届く朝日新聞のカルチャー系冊子「暮らしの風」に掲載されている西村玲子さんの「着心地のいい暮らし」というエッセイがとても上質で、なのに身近で大好きなんです。この冊子には他にもいろいろ記事があったり情報があったりするけれど、やはりエッセイで茂木健一郎先生のがなるほどーといつも頷きながら読んでいる。何冊か本を出されてて読んだこともあるけれど、いつも子供のころの記憶から引き出される思い出の話がきっかけでさまざまな話に発展している。その構成というか、話しぶりがなんだかテレビ番組で見ている印象よりも鮮やかで、すごいなぁと思うことしきり。今月の話は絵本の思い出でそれはただ「読む」のではなくて絵本の世界を実際に絵本を使って「作り出し」、魔法使いの家を絵本で建ててしまって「ごっこ遊び」をしようというもので、それがいかに質のいい時間だったのかが描かれている。
読んでいるとその中に書かれていることが立ち上がってくるように感じる、というのがきっと私にとって「素敵」に感じるものなんだろうと思う。それは多分どんな人にもそうかもしれないし、ちょっと違うかもしれないけれど、私にとって西村さんの話はいつもいつも「何か」が「素敵」に感じるものがつまっている宝石箱のようなもので、キラキラしたものがきっと身近にある、と思わせてくれるものだと思う。
何年か前に読んだエッセイでは、普通のオバサンが普通にでも綺麗に年齢を重ねることのほうが頑張って若作りする人よりもすごくかっこいい、と書かれていた。こうやって書いてしまうと全然わかんないんだけれど西村玲子さんのエッセイには手書きのイラストが必ずついていて、そこで普通のオバサンがいかにかっこいいかが図解説明されていたんです。ほかにも、きつめのパンツスタイルよりはワンサイズ上のパンツでゆったりめに穿いたほうがバックスタイルが綺麗だとか、昔買ったちょっと派手なブローチをマフラーやスカーフと合わせて新しいアクセサリーにしてしまうだとか、今回のイラストにはご友人が1時間待ち合わせに遅刻したときの一言が載っていて、カフェから見える緑が綺麗で「待つのが楽しい」とあって、こういう時間の感じ方というか、生活とか生きてるというレベルの「余裕」ってすごく大事だし、1日の中、一生の中で「急がない時間」があるという感覚って悪くないなぁと気がつかされる、と思う。
上質ということにいろいろ書かれている今回は、それに惹かれてやまないもの、全然ひかれないものなど、その不思議について追求してみたい、と書かれていた。マカロンはいくら上等だといわれても苦手だというところになんか、気取ってない感じが見て取れて嬉しくなる。うーん、読み手のとり方勝手なんだと思うんだけれど、でもやっぱり好きなんだなぁ・・・。
読んでいてふと思い出したのは、今日の帰り道で見かけた「薄暗く暮れてきた空にすっと線で書いたような月が出ていて、その下を電車が煌々とした明かりをつけて走っていく様子」で、ごくごく普通の、いつもどおりの景色なのに見とれるほど綺麗だ、と感じたことだった。まるで映画にでも出てくるようなワンシーンで、信号待ちしていた偶然で見る事ができたもので、青信号になって車が動き出したらもうぜんぜん違った景色になってしまっていた。時間というものにも「上質」があるなら、ああいう時をそう呼ぶんだろうなぁとちょっと格好つけて思ってみたりする。
このすてきなエッセイが今月で終わるというのでちょっとどころではなくすごくすごく残念!「暮らしの風」自体がなくなって新しい冊子に変わるそうなのだ。スタイルを一新して、と書いてあったけれど、どうかまたすてきな出会いがありますように、と願うばかりである。




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