murasehisariの写真屋さん日記

学校アルバムの仕事をメインに街の写真屋さんでお仕事してるmurasehisariの日々是徒然日記です

レンズの質の話

今現在販売されているメガネレンズは、どこのメーカーさんのも単焦点レンズなら大差はないと思うんです。度数がちゃんとあってて、光学中心がちゃんとあって度数の計測が出来るものなら、まず問題はないと思います。今回遠近両用の話は抜かしますが、これは遠近両用に関してはただ単純に度数が合っている合っていないばかりでなく、累進設計をどこで作っているのか、内側か外側か、そこで大きな違いがあるし、実際に装用してみて同じ度数でも装用感の違いや視点の動かし方で好みであるかないかが「見え方」に影響するからです。
今回の「レンズの質」というのは、単焦点レンズのアッべ数などについて書いていこうと思います。アッべ数というのは今までも何度か書いたことがあるけれど、わかりやすくいうと色のにじみを数値化して比較しやすくした、といったところです。数値が大きいほどにじみが少なく、小さいほどにじみが出るのですが、販売されているレンズはそのにじみが見え方に影響しない程度であると考えていいと思います。でもその差を感じる人はやっぱりいますし、そこを購入の目安にしている人もいます。しかし、たいがいがレンズの厚みのほうを重視していて、アッべ数は会話にすら出ないことのほうが多いです。
プラスチックレンズの場合、アッべ数58と一番高い(=一番にじみが少ない)レンズは屈折率1.50のレンズ、今ではこのクラスのレンズはどのメーカーも一番安く出している商品になると思います。ウチの店では組で6000円、当然加工代込みです。しかしこのレンズは一般的に紫外線よけが付けられていません。レンズそのものの持つ紫外線カットの力、UV320までしかカットはしません。現在各メーカーで言われている「紫外線カット」コーティングはUV400までカットします。このレンズの場合それをオプションでつけると価格がぐんと高くなる場合もあるので、それなら上のクラスのUVカット込みで販売されているほうが割安だったりします。
現在一番一般的でなおかつ一番丈夫だとオススメできるレンズは屈折率1.60のもの、このクラスはたいがいがアッべ数42です。セイコーだとルーシャス素材、HOYAだとアイアス素材と呼ばれています。このレンズはかなり安定しています。いろんなメーカー(HOYA・セイコー・ニコン・アサヒオプチカル・伊藤光学・などなど)を扱っていますが、このクラスは見え方もにじみも揺れゆがみもほとんど差がありません。あるとしたらコーティングかなぁ・・・・・コーティングの選び方も左右しますが、今はやりの表面ツルツルコートをつけないでいるレンズで考えると、経年変化が大きく出るのはセイコー・アサヒあたりでHOYA・ニコンはクラックなどはいっても目立たずにいる場合が結構あります。でもそれも使い方や条件によりますね。意外にコーティングの違いで価格が高くなるオーガテック(有機コーティング)は可視透過率が下がります。セイコーの1.60の普通のレンズが99%なのに対して98.5%になります。うーん、まぁ0.5%ですけど、これがわかる方が今まで何人かいらっしゃいました。「ちょっと暗くなったみたい」といわれるんですが、実は私はその差がわかりません(汗)
薄型レンズの屈折率1.67はアッべ数が32くらい。数値が低くなるので厳密に言うと色のにじみが出ます。でもそれも何百倍に拡大した時の話で、普通に使っていただいてる分には全くその違いは感じないと思います。ここらへんのレンズを使うとなると度数が強めであるはずなので、屈折率ばかりではなく球面か非球面かのほうが見え方に影響を及ぼします。先にお話しておきますが、例えば近視で度数の弱い(−3.00Dくらいとか、もうちょっと上の度数くらいとか)場合やプラスレンズで外形指定をしてかなり大きさを小さく(レンズの直径が60ミリ以下にできる時など)できる場合は高屈折レンズは使わなくても十分見栄えはよくなります。あとはフレームの選び方なので、PD(目と目の間隔)が狭すぎるのに大きいサイズのフレームを使ったりすると厚い縁厚のレンズにしかならないということが起こります。
屈折率1.67以上の薄型を使おうということになると、両面非球面であるかオプションの加工代がかかるけれどフレームの大きさにあわせてオーダーでレンズを作ったほうが縁厚を薄くできることがあります。今はたいがいがオンラインで特定のメーカーとデータ交換できるようになってるので、このフレームでこのレンズを使うとどのくらいの厚みで仕上がるか、というのが確認できるようになってます。ウチはHOYAのヘルプ加工が出来るようになってるので、そこで3D画像が出来るようになってます。
質のいいレンズ、となるとレンズメーターにかけて光学中心が極端にずれてるものを平気で出してくるメーカーはあんまり使いたくないなぁと思いますね。そうじゃなくて、きっちり真ん中で光学中心が出せるレンズばかり来ると安心できます。それはニコン・HOYA・セイコーの順かなぁ。あとのメーカーは安いからこれくらいは仕方がないな、と思えるような状態です、が、加工時にはその中心をきっちり出してから削るので、出来上がったメガネはやっぱりどこのメーカーのものも大差はないんです。
私は、いくらいいレンズだとわかっていても、装用感から非球面レンズは使えないんです。初めから球面レンズを使っていたことと、たぶん今の度数(−1.50Dくらいで乱視が−1.00D90度方向)では球面レンズのほうが非点収差とか色収差とかが非球面レンズよりも安定しているんだと思います。あとは慣れですね、非球面レンズにするとどうしても周辺部の見え方がゆがんでる。それなら球面レンズで安定した見え方でいた方がいいですから、いいレンズ(というか高いレンズ)が出ても自分のメガネは球面から変えようとは思わないですね。うーん、販売員らしくないですけど。
どこのメーカーのどれがいい、とは思いませんが、ニコンのシークリアというコーティングがかかってるレンズは、メガネとして使っていくものの中でのコーティングとしては群を抜いていいと思います。HOYAのSFTもいいですが、加工性を考えると店頭加工が出来る分、やっぱりシークリアのほうがいいですね。

となるとどこが一番いいんだろう?
やっぱり度数によるからなぁ・・・・・乱視が2〜3.00Dくらいもあったりすると、シーマックスがいいですよ、高いけど。あとは1.60の屈折率のもので度数により球面か非球面かを選ぶのが一番いいですね。




にほんブログ村 健康ブログへ